障がい者共同生活援助事業所・障がい福祉サービス

代表インタビュー

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以下のインタビュー記事は、中小企業の活躍を伝える情報雑誌・月刊 CENTURY(センチュリー)に掲載された内容を一部抜粋して掲載しております。

障がい者福祉を変える!絶対的な熱意で、業界を変革する

グループホーム『みんなの家(おうち)』と放課後等デイサービス『こどもたちの窓Solana(ソラナ:ひだまり)』を運営している『おもいやり』。同社の澤田代表はその名の通り、周囲の人へのおもいやりを持ちながら、熱い思いで日々の仕事に臨んでいる。業界の救世主となるべく全力を尽くす代表のもと、村野武範氏が訪問。その思いに迫った。

村野武範(俳優)

「薬局を多店鋪展開されていた時から、自ら率先して動いて背中を見せることを大切にしてこられたそうです。何をするにおいても持ち前のバイタリティで積極的に行動される方という印象ですね。熱い思いで、福祉業界を良い方向に変えて行ってください!」

――こちらの『おもいやり』さんを立ち上げられたのには・・・・。
私の息子が重度の知的障がいで生まれたことがきっかけです。実は、精神障がい者も、身体障がい者も、それぞれ手帳を発行することで受けられるサービスなどが法律で明記されていますが、知的障がい者が持つ療育手帳に関しては各都道府県が管轄し、サービスは地方によって全然違います。また入所できる施設も充実していないので、グループホームでは息子のように重度のケースでは受け入れてくれるところはほとんどありません。行政のサポートが遅れているんです。息子は児童施設から成人施設に移るタイミングで待機児童になりまして19歳の時から11年間も受け入れ施設が見つかりませんでした。全国の施設を見て回って、やっと見つかった大阪のグループホームが虐待を行っているところで・・・・。
――なんと、それはひどいですね・・・。
私はこうしたひどい現状を行政に何度も直談判して、最終的に行政の方から「ご自分でグループホームを立ち上げられたらどうでしょう。それだけ熱い思いをお持ちならきっと大丈夫ですよ」と言われたんです。
――ほう、ご自分で。それまでは、そんな風に考えたことはなかったのでしょうか。
ええ。最初は「何を言っているんだ」と思いましたよ(笑)。けれど、先ほど申しましたような現状を打破するためには、自分がやるしかないと、知的障がいの方のためのグループホームとして、この『みんなの家(おうち)』をスタートしました。以前息子が、入居していた施設では、転ばされ頭を打ち、くも膜下出血と脳挫傷で意識不明になったことがありましてね。幸い一命は取り止めましたが、一生、抗痙攣剤を服用することになりました。施設の緊急マニュアルなどが全くなかったこともあり、救急車を呼ぶのに30分以上かかり、実際に救急車が到着したのは、転倒事故後、40分もあとだったんです。本当に不安な思いをしました。
あの時のような思いは、当施設をご利用下さる方の親御さん、利用者さん、入所者さんの方々には、絶対にしていただきたくありません。
息子から学んだことを活かしながら、真に利用者さんのことを考えたサービスをしていますし、大阪市内のどの施設よりも手厚いサポートをしている自負があります。
――とても熱い思いを持っておられることが伝わります。
たとえば「毎日入浴できます」という施設だけでも、実際は夏だけ、というところもあります。また、ほとんどの施設では、下着を含めた持ち物に「名前」を書かせていますが、全く違う別の利用者さんの名前が書いてある下着(パンツ)を履いて帰って来たり、更には、その下着に、大便が付いたまま洗濯したようで、黄色く色がこびりついていたり、施設に持って行った服が、しょっちゅう紛失したり、靴のかかとが、足の甲のところにきた状態で靴を履いていたり・・・。あげていったらきりがありません。こんなことは日常茶飯事です。全く心が感じられないんですね。しかし、親御さんたちは一切何も言いません。何故だか分かりますか?それは、我が子がいわゆる「人身御供」状態だからです。親の会で私がこのようなことを指摘した時、ある年配の親御さんたちに言われました。「澤田さん、私達も分かっているのよ。でもね、そこを言うと自分のこどもに何をされるのか。虐待はないかもしれないけど、かまってもらえない、看てもらえなくなるのが怖いのよ。だから何十年も我慢してきてるの」。私は非常にショックを受けましたが、これが現状なんです。高い志を持って働く人もいますが、そういった高い志を持った多くの職員は、辞めてしまいます。高い志を持った職員は、福祉業界を変えたい気持ちがあるのに変えられない現状を目の当たりにするから、負けてしまうんですね。けれど私共は絶対に負けずに、自分たちを皮切りに業界全体の改革を促していきます。見学に来られた親御さんにも、こういったお話をさせていただくと、「是非、うちの子をお願いします」と言って下さいますし、私共としても自信を持っています。
――素晴らしいですね。
実は、息子が生まれてから、私自身、息子の障がいを受け止められない日々が何年も続きました。けれど、今年になって、やっと分かったんです。息子が生まれてきたこと、私の使命は、息子を通じて息子と同じように障がいを持つ人たちを支援すること。これが、私のミッションワークだとやっと分かりました。
――人生をかけてこのお仕事に臨んでおられる、と。さらに最近の新しい施設を始められたそうですが、そちらは?
今年の6月に、放課後等のデイサービス『こどもたちの窓Solana(ソラナ:ひだまり)』を立ち上げました。私はずっと手話を勉強してきましたから、聴覚障がいのお子さんを中心とした施設です。今はまだ、チラシを配って宣伝をしている段階です。グループホームと同様の熱い思いで運営していますから、まずは多くの人に認知していただきたいです。
――従業員の方も、そうした代表の思いを共有されているのでしょうね。
もちろんです。皆は私が厳しいから大変かもしれませんが(笑)、理解し協力してくれています。
こうして施設運営できているのも皆のお陰ですから、本当に感謝しています。私一人では何もできません。『みんなの家(おうち)』は篠原が中心、『こどもたちの窓Solana(ソラナ:ひだまり)』は烏頭尾(うとお)が中心に、そして薬局は翁(旧姓)が中心です。こうした皆の協力がなければ一般社団法人『おもいやり』は成り立ちません。これからも皆への感謝を忘れず全力で進み、もし私が退いてもその精神を受け継いでいってくれる組織作りを進めたいと、強く願っています。

代表理事
澤田 詠新(さわだ えいしん)

京都府出身。医療に関する仕事に就きたいと薬剤師を目指すようになり、薬学部に進学。卒業後しばらく経験を積んで独立し、多店鋪展開を図った。その後不運が重なり多額の負債を抱えるも、持ち前の負けん気で完済。ご子息の知的障がいをきっかけに福祉に興味を持ち「おもいやり」を立ち上げて現在に至る。

 

check point
相手のことを思う“癖”づくり

■澤田代表は、母親からの教えを胸に留め、普段から大切にしているそう。それは「目配り・気配り・心配り」をすることと、「常に相手の立場に立って物事を考える」ことだ。仕事中のみならず、普段の生活のどんな些細なことに対しても常に意識しているという。そうして一つの「癖」のように、自分の習慣として身につくようにしているのだ。
■代表が薬局の取引先やグループホームの利用者、ご子息に対して、上記のような思いで接してきた。そして『おもいやり』の従業員にもその精神を伝えている。また従業員には常に「仕事はして待て」とも言っているそう。
動的な姿勢が、良いサービスの提供につながる。そしてもう一つ、口を酸っぱくして伝えているのが、「周囲への感謝」を忘れないことだ。たとえば薬局において商品を販売できるのは、製造する人や配達する人など、様々な人の協力あってこそ。そうしたことを忘れず、関わる全ての人に常に感謝の念を持ってほしいと代表は語る。
■これらはシンプルながら、実践するのは難しい。だからこそ、「良い癖」として身につくように、普段の生活から意識するように教えているという。こうした代表の思いが、多くの人に共有され始めている今、障がい者福祉が変わっていくスタート地点なのかもしれない。

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